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澤西章展 |
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2013.7.8(mon)−7.13(sat)
ギャラリーなつか |
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≪脳の回転≫ |
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「ロゼッタ」
キャンバス、油彩
727×910mm
2013年
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ギャラリーなつか会場風景 |
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ギャラリーなつか会場風景 |
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「ヘイゼル」
キャンバス、油彩
1455×1120mm
2013年 |
see the Brain spinning round
余計なことが多すぎるので、時々脳を回したくなる。脳がでんぐり返り、空間が錯綜し、時間が脱臼する、そのような表現を熱望してしまう。脳を回すことは、世界を回転させることである。丘の上の愚か者の一人である私が、夕陽を眺めながら、頭の中の目で見ていた、ぐるぐる回る世界は、ぐるぐる回る脳そのものであった。
回してみたらこうなった
脳を回してみる。私の脳が私に語りかける。
脳を回せ。脳を回すということは、世界ぜんたい、ありとあらゆるものを回すことだ。脳の回転なくして世界の回転はありえない。
私の脳が私に命令する。
脳を回せ!今すぐ回転させろ!脳内のつまらぬ情報が空っぽになるまで、絡みつくニューロン、シナプスがぶっちぎれるまで、脳を回せ。五臓六腑を回せ、ろばを回せ、車に火をつけて回せ、駱駝を回せ、針の穴を回せ、神の国を回せ、仏に会うては仏を回せ、羅漢さんがそろたら回そじゃないか、どんどん回せ目を回せ、そのまましばらく回してろ…。
脳を回せ、海月なす漂へる時、天の沼矛を指し下ろしてかき回せ。脳を回せ、愛と平和を、絶望と諧謔とパラドクスとハバロフスクを回せ、自由と民主主義とヒューマニズムと重いコンダラを回せ、くる日もくる日も、昼も夜も、寝ても覚めても降っても晴れても回せ、お天道様と米の飯を回せ、コペルニクスとガリレオ・ガリレイを回せ、じゅんとネネを回せ、アンナ・パヴロヴァと浅田真央を三回転半くらいまで回せ、とにかく回せ、とりあえずまわせ、とりあえずビールを回せ、皿を回せ、傘を回せ、いつもより余計に回せ、糸車と風車を、弥七とビル・ロビンソンを回せ。
脳を回せ、もう少し誠意をもって回せ、金と仕事を回せ、麻布絶江釜無村の木蓮寺を回せ、虎が啼いては大変だ、麹町の猿を回せ、人間万事塞翁が馬の馬と、異人さんにつれられていっちゃった女の子を回せ、猫も杓子も回せ、豚も真珠も、豚はおだててから木に登ったところを回せ、讃岐うどんと公証人とマチュピチュと…、ダイヤルMを廻せ!冷たくしないでを熱く回せ、好きにならずにいられないを好きにならずに回せ、夢と希望、涙と感動、絆まごころおもいやり…、そんなこんなをまとめて回せ、森羅万象万物流転、百花繚乱魑魅魍魎、それから顔面蒼白と、弱肉強食と、あと焼肉定食もお新香をつけて回せ。
脳を回せ、っていうか転がせ、脳を転がせ、ダイスを転がせ、転がる石のように。転がしながら急いで舌で舐めろ。舌の先っちょがピリッときましたら、それは電気です。脳みずから、回転しながら発電しているのです…。
いったいどうしてこんなことになってしまったのか?私の脳は支離滅裂。しまいには、頭蓋骨をぱかっと開いて、くるくるくるくるくるっと叫びながら、高速度で回転したまま、脳はどこかへ飛び去っていった。
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