龍田龍也展
2014.7.7(mon)−7.12(sat)
ギャラリーなつか
≪ヘテロゲネシス2011≫
"ギャラリーなつか会場風景"/龍田龍也 "石と鉱物"/ギャラリーなつか
ギャラリーなつか会場風景 石と鉱物
"ギャラリーなつか会場風景/龍田龍也" "部分"/龍田龍也
ギャラリーなつか会場風景 部分
和紙、プラ、アクリル絵具
様々な素材による過去から現在までの作品を、温度をパラメーターとして展示し、それぞれが発する多様なメッセージで、ヘテロゲネシス空間を目指します。
 温度は私たちが生活するうえで最も分かりやすい環境変化のバロメーターとなるもので、私の創作にとっても重要な課題であります。



親指の爪ほどの場が現在試行錯誤で実験中の仕事場である。太陽光を利用して“石を溶かす”をやっている。溶ける石と溶けない石(割れたり、粒状に分解する)があり、溶ける石の方がおもしろそうだ。最高2,000℃の温度で溶かすとほぼ黒いガラス状になる(黒曜石みたいだ)。中には、茶色い縞模様が出てくるものもあり鉄分が混じっているのだろう。地球のコアが鉄でできている証であり、マグマの上昇で地表に出てきたものだ。滅多にお目にかかれないが赤、青、緑、黄の鮮やかな色が出現することもある。石(鉱物と言った方がいいかも)とは、色とはなんぞやなんて考えながら“石を溶かす”を始めて4年目に入る今、その辺りを歩んでいる。
 ところで、展覧会を“石を溶かす”に決め込んでいたところ、どんな展示方法があるかというところで考えあぐんでしまった。小さな黒い石を並べても場がもたない、場がしらけるといった方がいい。苦肉の策が過去の作品を持ち込むというものだが、それではそれぞれの作品が勝手に自己主張しすぎるのではという問題が発生してしまった(自己主張できればの話だが)。ところがまもなく妙案が浮かんだ。日ごろの創作で培った身体からの贈り物である“温度”という概念をパラメーターとして取り入れればおもしろくなりそうというものだ。しかし、物理学の論文を発表するわけでもないのに突飛すぎはしないか、いやいや陶芸でもガラス工芸でも温度は重要な要素だ、これでいいのだ。だが何か違う、私の方は木とか和紙とかプラスチックそれに石だもの、やはりおかしいんじゃない…。異種の素材で出来た作品であり、それも別々の発想である。ただ共通するのは私の40年の創作の中で湧いてきた作品だということだけだ。異種の素材、異種…、またもやハタと記憶がよみがえり、過去に読んだ本の中にこんな言葉があった。そうだ異種発生(異種強勢)だ、これで展覧会の辻褄が合いそうだ。
 前に進んだぞ、冷静に冷静に…。温度という概念だけを拾い上げたが自然はもっともっと複雑である。私たちの住んでいる環境だけ見てもそれに類するものは数多くあり、気圧だったり湿度だったり…、まあその中で最も分かりやすい変化のバロメーターとして温度に代表してもらうということでどうだろう。今までの創作過程で木を削っていると後日ひび割れが出来て頭を抱えるとか、和紙で岩の型取りをするときの適温とか、プラスチックを溶かすにはどれだけの温度が必要か、はたまた石を溶かすには等々温度との戦いといっていい。
 そろそろ予定の文字数が迫ってきたが、ここでおぞましい事態が頭をよぎった。『私たちの地球環境を破壊するのにわずかな温度上昇で事足りるんだ』という声である。私はエコロジーを云々できる立場ではないし、地球環境問題の専門家でもないので大きな事は言えないが、創作を通じて感じた常々の感覚的考察がある。鉱物が変態(転移)するのに必要な温度があり、セミは脱皮する際、特異点としての温度を探さなければならない。“温度”と向き合うにはデリカシーが不可欠なんだ。健気に存在するものたちへの思いを込めて…。



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2014 schedule

1971-74 山田新一(洋画・京都)に師事
1981 「自主企画」福井現代美術’81
1982 アースワーク雪展(福井・足羽川河川敷)
「自主企画」福井現代美術’82
1983 パフォーマンス・季節風(三国・東尋坊)
アースワーク雪展(福井・足羽川河川敷)
ギャラリーIN個展(福井)
靭画廊個展(大阪)
村松画廊個展(東京)
信濃橋画廊個展(大阪)
1984 制作現場展(金津)
琵琶湖現代彫刻展(滋賀)
アートナウ’84(兵庫)
1985 ギャラリーB´個展(福井)
汎北日本美術家協会展(福井)
1988-89 汎北日本美術家協会展(福井)
1990-91 アートハウスギャラリー個展(福井)
1992 Fukui sculpture competition’92入賞
1994 Fukui sculpture competition’94入賞
今立現代美術紙展(越前)
1997 「白の空間」展(福井)
2009 アートハウスギャラリー個展(福井)
さばえ現代美術センター個展(鯖江)
2011 さばえ現代美術センター IKAROS ART PROJECT(鯖江)
2012 IKAROS ART PROJECT(神戸)
Gallery KATO 地球の記憶展(京都)
2013 Galleryサライ デッサン展(福井)





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