澤西 章展
2009.6.15(mon)−6.20(sat)
ギャラリーなつか
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≪ ウバル、クライン、カラビ=ヤウ ≫
会場風景/澤西章 会場風景/澤西章
会場風景

"ウバル09-6"/澤西章 小品/澤西章
「ウバル09-6」
キャンバス、油彩、木炭
145.5×112cm
2009年

左から
「ウバル09-11」/「クラインのウバル 09-5」
「カルツァ - クラインのウバル 09-4」
「カラビ - ヤウのウバル09-6」
キャンバス、油彩、木炭
全て41×27.3cm

「ウバル、クライン、カラビ=ヤウ」
虹蛇がブルゥにこんがらがって……

まず初めに、偉大なる先祖の虹蛇ンガアルジョドが、「ウバル(長い虚ろな丸太)」として自らを生み出したことになっている。
1882年、フェリックス・クラインが発見したクラインの壷は、柔らかい首を自分自身に向かって折り返した立体で、外側と内側がつながってひとつの面となっている。
ウバルは、催眠作用のある振動と音を生み出し、聖なる儀式ではドラの役割を果たす。 1920年代、テオドール・カルツァとオスカー・クラインは、第5の次元が極微のループに「巻き上げられている」と考えていた。
ウバル(虹蛇)内部の虚ろは、時には偉大なる母親の子宮と呼ばれ、ウバルの姿は虹蛇のペニスと呼ばれる。
1984年、エドワード・ウィッテンらは、二人の数学者、エウゲニオ・カラビとシントゥン・ヤウの名前から「カラビ-ヤウ空間」と呼ばれる6次元幾何学図形が、ひも理論における方程式の条件を満たすことを証明した。
ウバルは、私の妄想の中で変形してゆく。
ウロボロスの蛇は、自らの尾に喰らいつき、自分自身を喰い尽くして消滅してしまう運命にあるが、私の妄想のウバル=虹蛇は、自分の尾に喰らいつこうとあせるあまり、中途半端な部位からトポロジカルに頭を突っ込み、自らの出口に内側から喰らいついた。すなわち、クライン・ボトルと化したのであった。
さらに、コンパクト化し、カルツァ-クライン・モードに転移したウバルは、余剰次元のなかを移動しているが、その痕跡をこの3次元世界に残している。
また、カラビ-ヤウ多様体としてのウバルは、穴だらけに丸まって、いくつもの振動パターンを発し、熱狂的に踊るように動き、くり返し裂けては結合していくつものウバルをへる。するめいかが、火の上でそり返るように巻かれてしまったカラビ-ヤウのウバルは、“必殺するめ固め”にかかったウバルと考えることができる……。
極私的趣味的思いつきで絡んでみたウバル=虹蛇〜ひもは、今や私の頭の中でもつれにもつれ、ブルゥにこんがらがって混線し、収拾のつかない状態に陥っている。しかしながら、収拾のつかない混乱した状態をそのまま呈示すること、こそが表現であると、私は考えているのであった。
そういうわけで「ウバル、クライン、カラビ=ヤウ」は、「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」とは何の関連も無い。


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2009 schedule

1958 山口県生
1978 千葉、ギャラリージュライ、グループ展
1979 荻窪、清水画廊、グループ展「リアリズム研究会」
1980 武蔵野美術短期大学卒
1985 青山、TRANSFORM、個展「雲の光・透明な夢」
1996 市原、サンプラザホール、グループ展「潮流21展」
2008 ギャラリーなつか、個展「虚空の時 すべては歓びのために眼を醒ます」
2009 ギャラリーなつか、個展「ウバル、クライン、カラビ=ヤウ」


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